もし君が、このアスタランデ物語。
いや、正確には一人の男の出現により時代そのものを弄ばれてしまった、アスタランデ大陸の物語になるわけだが。
それはかくも長い歴史によって作られていた。
それは沢山の人間によって成し遂げられた。
まさに小大陸アスタランデの歴史そのもの。
もし君が、それを調べてみようと思うならば、私にはそれを止めるどんな理由も思いつかない。
ただ、これを調べることを断念することだけは勘弁して欲しい。
その、嘆きの歴史をどうか諦めないで欲しい。
その、美しき慈愛の歴史をどうか見捨てないで欲しい。
その、限られた大陸の限られた人間の、それでも大陸全ての人間が願った平和への祈りや希望を、どうか壊さないで欲しい。
それが、この物語を紐解くための、約束事だからだ。
では始めよう。 |